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建築主のみなさま

2017+10政策に伴う建設産業改革での発注体系、生産方式のご提案

この10 年間で、国土交通省指導の下、建設生産システムは大変貌を遂げていきます。
法律が変わると、今までは良かったが、今からはダメな事項が多くなります。
特に発注者にも責任があると明記されたものが =こちら⇒ 【発注者・受注者間における建設業法遵守ガイドライン 】

ここ10数年、大手が行う民間建設システムでは、国土交通省が2017+10政策を推進する前にCM方式、ECI方式、デザインビルド方式等が行われ民間での発注体系の多様化が進んでいますが、中小規模には理解が乏しいのが現状です。
発注者・設計者にとっては 多様化する生産システム体系・建設産業担い手三法の改正等、理解しにくい事象が多く戸惑ってしまいます。
そこで、20年間CM方式を行ってきた弊社の経験則から、CMr以外の方が発注者支援業務を行うなら、最低限は知っておくべき建設生産システムをご紹介し、なぜ必要なのかを解説します。

※こちらでは、国土交通省の多様な発注方式啓蒙文章より抜粋した当社で対応可能な生産システムの一部を紹介させていただきます。

ECI方式とは・・・デザインビルド方式とは(CM方式以外の方法)

ECI方式のECIとは「アーリー・コントラクター・インボルブメント」の略。
この方式は設計段階から施工者が参画し、施工の実施を前提として設計に対する技術協力を行うものです。
技術協力・見積りを始める前に、発注者と施工者は「技術協力委託契約」を結ぶとともに「基本協定書」を交わします。 実施設計完了後に施工者は価格交渉し、合意に至った場合には、発注者と工事契約を結びます。
ECI方式は、施工者の技術力とノウハウを設計段階から投入するので、建設コストの縮減、工期短縮を図れることが大きなメリットです。 デザインビルド方式も同様に設計段階から施工者が関わる点が特徴ですが、デザインビルド方式では、受注者が設計・施工ともに担い、選定時に工事価格を決定し、発注者と契約を済ませてから設計を始めることが一般的です。

デザインビルド方式
設計・施工一括タイプ

共同事業体など

設計者・施工者が共同受注体制となるので、発注者が設計・施工業務水準書が策定された後、上限金額(GMP)を公表し総合評価型で選定し契約するシステムです。学校、商業施設など中規模以上の案件によく使われています。

デザインビルド方式

ECI方式
技術協力・施工タイプ

設計・施工分離発注

技術協力委託契約を結んだ施工者は 優先交渉権者として特命受注が大半ですが、稀に行われる指名入札に於いて参加できます。(戸建てレベルでは指名入札はあり)

ECI方式

■決定木分析表

決定木分析表決定木分析表

今後取り組む喫緊課題として見直してみる事項

事業計画上に必要な積算を誰が行うか?

設計事務所が行うことが多いが、実態は積算事務所又は入札候補施工者に無償で協力してもらっている事が現実的に存在する。 しかし不調の場合、施工者は労務費を回収するのに、回りまわって他の建築主の負担になることへの認識が薄く、本当に公平性を探求するならECI方式が望ましいと考えます 。 また数量書の発行は出来るだけ公平にするため、発注側で行うことが望ましいと考えます。

施工者募集要項書の問題点(公平な発注で発注者を守る為に必要な事項)

  • 設計者が独断で発行し、発注者に開示し承認を得ていない場合の誤記、錯誤等で発注者に迷惑がかかる事があれば善管注意義務違反に抵触し、免許停止措置対象となる場合があります。
  • 設計者が常習的に建設業法20条に係る明記違反、例えば完成写真の施工者負担額の未明記、リベート享受及び欺罔指示などは、法違反教唆に該当する場合があり同じく免許停止措置対象となる場合があります。
  • 昨今では当たり前である社会保険等法定福利費の明確化や暴対誓約書の提示。施工体系図、施工体制台帳の閲覧を供する指示
  • 週休二日制に関する特記 など労働法に対処する文面は積算に影響 するため明記する。
  • 施工者選定基準の詳細、例えば「最安値とする」の一文でもよいが、建設業法20条に準拠した内容とすることが望ましい。 又、低入の恐れがあるときはヒアリングを実施する旨も明記する方が良い。
  • 支払い時期、方法、回数など
  • 配置技術者の実態調査 雇用保険、資格者証などで確認する旨の通知
  • 戸建てでは必要性はあまり感じないが、中小規模の特殊建築物では最高限度価格(予算超過)、最低限度価格(失格)を積算して掴むことが望ましく、これはECI方式で行うとわかり易い。 (公共では一般競争入札に於いて地域性を考慮した統計計算が一般的に使用されていますが難易度が高いのであまりお勧めはしません)

要求業務水準書とは?

要求業務水準書は発注者(発注者支援者)が設計者・施工者に発行する書面ですが、民間の中小建築物生産プロジェクトで(発注者支援者が存在しない場合)は発注者支援をできる専門家が少なく、殆ど発行されていないのが現状です 。 但し、プロジェクトの根幹に関わる書類であるので、危惧されるのは、書類順位が高位であることの認識不足から行われる、特に各種法令に遵守を明記している中で、労働安全衛生規則は重要であり、戸建て小規模建築物で同規則の違反が見受けられる場合が多い。 数量書を発行する場合、これに対処する安全衛生措置を講ずるための金額の参入を妨げないようにする意識が必要となります。 例えば、金額を押えるため安易に周囲のフェンスバリケードを無くす指示を設計者が行って第三者に危害を与えた場合は施工者とともに、同規則違反が問われる場合があります。

みなさまに知ってほしいこと

今日の建設生産システムでは、あと数年すれば徐々に破綻していく可能性があります。 前述の建設産業入職者不足から、統計的に10~20%程度減少します。又、すでに5年ほど前から建設産業全体での労働力の奪い合いが始まっています。このままでは、工事価格の高騰が急けられなくなり、競争入札も不調が多く出てくることになります。これから少なくなる労働力で、既存のインフラ整備や都市ストックの維持は業務の平準化と透明性を確保しなければ成り立たなくなることは明白ですね。又、法令改正などで、世間では当たり前の社会保険の整備が行われ、支払い対価が上昇していることは周知の事実です。 しかし、これからは、社会変化とともに時代の要求する法律、ガイドライン等を咀嚼し平準化・透明化 していくことが最大の発注者利益につながります。

弊社ではCM方式の考え方を基に、公平で持続性のある透明な建築生産システムを推進していきますので、先ずはECI方式等 の新しいシステムの採用をご検討ください。

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